★業務報告01 『忘却図書館』のこと
以下の企画書は,2018年10月出版予定の作品です。
この本はおおむねの取材を終わらせていて、執筆作業を残すのみになっています。
既に取材させていただいた方々にはご迷惑をおかけしています。
執筆予定の原稿がいくつかあり、この企画が本になるのはまだだいぶ先。 申し訳ないです。
『忘却図書館〜わたしの心のなかの本棚にある、愛する作品たち〜』
[企画意図]本が好きな人はみな、心のなかに自分だけの図書館を持っていて、その書架にはかつて読みふけった古い愛読書が並んでいる。それらの本は彼にとっては忘れようとしても、決して忘れられない本である。 愛書家たちのその愛するべき書物の記憶は、その本と出会ったときの思い出やそのころの自分の生活、時代の記憶と結びついて、本は意味を失わない。その本を書いた作家たちはそれらの書籍のなかの表現に何を託そうとしたのか。 わたし(著者)の記憶の図書館にある愛書の多くはすでに物故した作家たちの作品だったり、倒産した出版社の本だったりするが、それらの本は、個人的な時代の記憶を超え、戦前戦後のさまざまな出版の潮流、文化的な思想と結びついて忘れがたい。 人間と本が織りなし、くり広げる文化創造の裏面を、その時代を必死で生きようとした作家と編集者たちの、精神の営為としての一冊の書物の物語を描き出したい。
[企画内容] 作家と編集者、作家が著者として出版した一冊の図書と一番最初の読者になった編集者とのつながりを解きほぐし、その本が出版された時代状況とその人たちがどういう仕事をし、どういう人生を生きようとしたかを解読していく。
①横光利一と『平凡社版新進傑作小説集4』
②荘原照子と詩集『マルスの薔薇』
③長沢延子と『海〜友よ、私が死んだからとて〜』と原口統三と加藤和彦
④丸谷才一の『横しぐれ』と講談社の榎本昌治
⑤川村喜一の『ファラオの階段』と大内要三と高橋秀明と吉村作治
⑥加藤文太郎の『単独行』と格闘家・前田日明
⑦百瀬博教の『昭和不良写真館』と花田紀凱
⑧杉村太郎の『アツイコトバ』と『絶対内定』
⑨六角幸生のCD『LOVE ME TENDER&初恋』と書籍『命ある限りボーカリスト』
⑩斎藤茂の『歌謡曲だよ、人生は』と加藤安貞
⑪五味彬『イエローズ』と平沢豊、『ワイルドライス』と塩坂三郎
⑫山際淳司の『スローカーブをもう一球』と『最後の夏』
⑬三浦恵『音符』とマガジンハウスのオリーブ少女たち
⑭上野圭一と映画『スワノセ・第四世界』と『ナチュラルハイ』
本と著者と読者を結びつけている記憶の物語、…本の数は全部で十四冊の予定でいます。ぼくがいつも書いている〝弁当箱〟みたいな本になる予定です。
執筆・刊行が遅れて申し訳なく思っています。
執筆予定作品を順番に書きあげていきますのでもうしばらくお待ち下さい。 塩澤
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